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本番へのイメージトレーニング

本番に強くなるには?

先月の発表会の後、生徒さんが本番でより力を発揮できるようにするために、なにができるだろうといろいろ考えていました。

ピアノに関係のない本を読んでいて、気が付いたというか思い出したのが、本番を頭の中で何度もシミュレーションするイメージトレーニングです。自分の本番の前には当たり前のようにやっていましたが、生徒さん達には「そこまで」という気持ちもありあまり勧めていませんでした。

本番の舞台で起こることを頭の中でイメージする。たとえば、舞台袖からステージにでた瞬間の景色、ピアノまで歩いていく距離、自分の足音が響いている感覚、客席に向かって礼をするときの視界、ピアノに向かって座った時の視界、ステージライトに照らされる鍵盤はレッスン室とは違って見えます。暗い客席からはこちらをみている視線が感じられ、その中で呼吸して鍵盤に手をのせ、最初の音を会場に響かせていく。。といった感じです。

もちろん、全く経験のないことをイメージするのは難しいです。本番を2度3度と経験していくとイメージもしやすくなります。発表会が初めてという方には、舞台の様子や舞台に出たらどう動くのかなどを少しでもイメージしやすいようにお伝えしていきます。そのあたりを今回ももちろん話してはいたのですが、もっと細やかに伝えられていたらよかった、というのが反省するところです。

とはいえ、百聞は一見に如かず。実際にその場で感じるものは、話で聞いていたものとは全然違うでしょう。

本番に強くなるためには本番の経験を重ねること、という当たり前すぎる結論になってしまいますが、実際に4回5回と発表会を経験している子たちからは、「前ほど緊張しなくなった」という声が聞かれます。緊張すると自分はどうなるのか、普段と違う精神状態の中でどうやっていくのか、経験を通して知ったことはその人の力になります。

その場で思い通りにできたとしてもできなかったとしても、一つ経験することで力をつけていっているわけですから、つみ重ねて表現する楽しさを大いに感じていっていただきたいなと思います。