· 

基礎練習

うでの重みを使ってピアノから音を出す。

この基本を身につけてもらうために、まず指先からではなく、小指の側面からおとすように手を鍵盤にのせていくところから始めます。膝の上や机の上などになにげなく手をのせるときのような感覚です。たたくのでもなく、押すのでもなく、重みを伝えることで楽器を響かせる。

そして、うでの重みをつかって小指と親指のみで弾く練習。教室では基礎練習➀と呼んでいます。

基礎練習➀がある程度身についたら、重みをそれぞれの指先に載せてつたえていくための練習。基礎練習②と呼んでいます。➀と②がある程度身についてきたら、音階練習の導入をはじめます。

詳しい進め方は、雑誌ムジカノーヴァ2018年2月号に書かせていただいたことがあります。

 

生徒さんの様子を見ていると、1年続ければおおよそ身についています。3年たてばすっかり自分のものになり、もう私が言わなければいけないことはほとんどないというレベルになっています。

このメソッドは、20世紀前半にハンガリーで活躍したピアノ教育者ヨゼフ・ガートが体系づけたものを、弟子のクシーシュ教授がチェコに伝え、さらにその弟子のシャバカ先生から私は学びました。ピアノの構造と生理学にもとづいた理にかなったメソッドで、無駄なくエッセンスのつまった練習でピアノ奏法の基礎を身につけることができます。

続けてきた生徒さんたちが、美しい音でのびのびと表現している姿を見ると、このメソッドに出会えてほんとうによかったと思います。